今回は、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選ばれている山辺の道を歩きます。たわわに実った柿の実や、黄金色に色づく稲穂に真っ赤な彼岸花。見事な色彩のコントラストが楽しめます。今回の見どころは、由緒ある神社について紹介します。

 石上神宮…主祭神は布都御魂大神。『日本書紀』によれば、神武天皇が東征の際、気を失った神武天皇に授けられた十握剣で、邪神を倒した剣として祀られています。また拝殿は、鎌倉時代初期に建てられた現存する最古の建物で、国宝になっています。
 夜都伎(やとぎ)神社…春日四神を祀り、春日大社と縁故が深く、若宮社殿と鳥居が下げられるのが例とされていました。また、拝殿は立派な藁葺きの拝殿です。
 檜原神社…大神神社と同様本殿は無く、三ツ鳥居を通して奥の神籬を拝みます。主祭神は天照大神で、御神宝を伊勢神宮に遷したのちもこの地で引き続き天照大神を祀ったことから、「元伊勢」と呼ばれています。お彼岸の頃に二上山の雄岳と雌岳の間に沈む夕日は絶景です。
 大神神社…本殿がなく、拝殿奥の三ツ鳥居を通して、神体山である三輪山を拝む、原初の神祭りの形態を伝えています。御祭神は大物主大神で、大国主大神の幸魂奇魂(さちみたま、くしみたま)とされています。拝殿前の大杉に何時の頃からか蛇が棲みついたことから、この杉を「巳の杉」と呼ばれ、白蛇の好きな卵やお酒が供えられるようになりました。また、拝殿は寛文4年(1664)に徳川4代将軍家綱が再建され、重要文化財に指定されています。