明治31年、関西鉄道会社が名古屋方面からの大仏参詣を主とした観光客の奈良への誘致を目的に、加茂駅から大仏駅までを開業しました。しかし、黒髪山や鹿背山当たりに急こう配があったことや、木津駅を経由する現在のルートが開設されたため、わずか9年で廃止されました。
今回は、JR加茂駅からJR奈良駅まで、大仏鉄道の遺構を巡ります。当時の技術の高さが窺えるレンガや石積みの美しさと、のどかな里山や田園風景をお楽しみください。
ランプ小屋…電気が普及していなかった明治時代、油や機関車の前照灯、客車の照明灯などを保管していました。現在もポイントの融雪剤などが保管されています。
観音寺橋台…切石積みの観音寺橋台。大仏鉄道(跡)とJR大和路線が平行に走っていて、大和路線と廃線を同時に写せる撮影ポイントです。
鹿背山橋台…黒光りがする重厚で堅固な美しい石積みの橋台です。梶ヶ谷隧道、赤橋と並んで大仏鉄道の代表的な遺構として人気の高い所です。
梶ヶ谷隧道…アーチの中央より上をレンガ、下を花崗岩の切石で造っています。保存状態がよく、中を歩いて楽しめます。
赤橋…その名の通り赤いレンガが美しい橋です。西日が当たるとレンガが赤く染まったように見えるところから、赤橋の名がついたとのことです。
タツタタワー(木津川市上水道木津南配水池)…高さ47メートルの巨大な建物。上に上がると東大寺大仏殿が望め、360度の景色が楽しめます。今回は、大仏鉄道研究会様のご尽力で、中を見せていただけるようになりました。
黒髪山トンネル跡…廃線後も生活道路として使用されていました。昭和39年頃に道路拡幅のためトンネルは取り壊され、現在は集落を結ぶ橋のみが残っています。
大仏鉄道記念公園…大仏駅の南端部にあたる場所に造られた公園で、動輪のモニュメントが置かれています。ここから乗客は東大寺へと向かいました。