今回の例会は、飛鳥陵墓区の中の主に真弓陵墓区の古墳を巡るウオーキングと、今年で12年目を迎える高取町「町家の雛祭り」を見て歩きます。内容も年々充実して近年は3月の1ヶ月間で5万人以上の方々が訪れています。参加される皆様も時間の許す限り「町屋の雛祭り」を楽しんください。
「益田岩船」
橿原市と高取町の境にある貝吹山北東の尾根に「益田岩船」と呼ばれる花崗岩の巨大な石造物があります。東西 約11m、南北 約8m、高さ 約4.7m、重量は160トンから600トンまで諸説あり、東西の側面はほぼ垂直に切り立ち、上部から側面にかけて幅が1.6mの溝が東西に彫られている。この溝に1辺が1.6m、深さ1.3mの方形の穴が2個並んでくり抜かれた謎の石造物です。現在有力視されているのは横口式石槨説で、近くにある牽牛子塚古墳も横口式石槨で岩船の穴の形状と似ていることから、同じように古墳として作られたが、建造途中でひび割れしたために放棄されたと推測されている。
尚、建造時期は7世紀と推定されている。
酒船石、亀石、鬼の俎板、鬼の雪隠等と共に飛鳥の不思議な石造物の1つです。
「牽牛子塚古墳」明日香村大字越
墳丘:八角形墳 (対辺長 約22m、高さ 約4.5m)
石室:横口式石槨 (内法長さ 約2.1m、幅 約1.1m、高さ 約1.3m)
棺 :夾佇棺 二棺。 出土遺物:玉類、棺金具、人骨、他。
築造年代:7世紀後半。 被葬者:斉明天皇・間人皇女 説など (現在の斉明天皇陵は車木ケンノウ古墳に治定)
備考:2010年10月中旬、古墳の南東20mに埋まっていた1mほどの石に人為的に割れた痕跡を発見。その周辺を発掘して「越塚御門古墳」を発見。斉明天皇の孫の太田皇女の墓の可能性が高い。
「マルコ山古墳」明日香村大字真弓
墳丘:多角形墳 (直径 約23m、高さ 約5.3m、二段築成で1辺12mの六角形墳)
石室:横口式石槨 (長さ 2.719m、幅 1.297m、高さ 1.353m)
棺 :漆塗木棺。 出土遺物:玉類、棺金具、人骨、他。
築造年代:7世紀末〜8世紀初。 被葬者:川嶋皇子 説など
備考:規模や構造が高松塚古墳と似ているので比較される。
飛鳥の終末期古墳の中で、高松塚古墳、キトラ古墳、マルコ古墳を「飛鳥三兄弟」古墳と呼ばれている。
「束明神古墳」高取町大字佐田(春日神社境内)
墳丘:八角形墳 (対角長 約30m、高さ 2m以上)
石室:横口式石槨 (長さ 3.12m、幅 2.06m、高さ 1.29m以上)
棺 :漆塗木棺。 出土遺物:土師器、須恵器、棺飾金具、鉄釘、青年男子の歯牙、他。
築造年代:7世紀後半(古墳時代の終末期)。 被葬者 :草壁皇子 説
備考:復元された束明神古墳の石槨は橿原考古学研究所附属の博物館で見学できます。
また、直ぐ近くに岡宮天皇真弓岡陵(草壁皇子を没後に追尊)があるが、束明神古墳が草壁皇子の陵であるというのが現在の考古学・古代史双方の見解です。